11月9日(土)は電車で1時間以上かけて神奈川県某市へ。
そこは妻が小学生から20歳までを過ごした、想い出の詰まった街。
実は去る10月13日(土)にも一度この地を訪れた。
しかし彼女にとっては30年以上ぶりの里(ではないが)帰りとあって、
どこを歩いても「わぁ懐かしい!」と、変わらぬ街並みに夢中になった。
戻って数日が経ち、当時の記憶がより鮮明に蘇ってくるにつれ、
「通った小学校をもっとじっくり見たかった」
「今も変わらないあの場所を写真に撮りたかった」
と、少女時代を過ごした街への憧憬の念は深まるばかり。
そんなわけであれから1ヶ月と経っていないが、急遽再訪を決めた。
もちろん私にとってはまったく見ず知らずの街だが、
それでも前回訪れた際に撮り損ねた写真を、どうしても撮りたかった。

駅を降りて3分ほど歩いたビルの脇にある素晴しい看板。
「いらっしゃい」とクロも店主になったつもりで愛想を振りまく。
この後、2時間ほど妻の想い出の地をゆるゆると散策、
当時一家が住んでいた建物は既に取り壊されて久しいらしく、
草木が生い茂る更地となっていた。
一方、その隣りにある小学校は当時の面影そのままで、
校庭の隅に置かれている、動物をかたどった小さな遊具の数々も、
彼女が毎日のように旧友と遊んだそのままの姿をとどめていた。
それらを嬉々として写真に収める妻の瞳は、
まるで小学生のように、いつにも増してキラキラと輝いていた。
そんな彼女を見守る私も、まるで父親にでもなったかのような、
ちょっと不思議な感覚にとらわれた。
目の前にある、当時と変わらぬ懐かしい光景は、
見る者を瞬時にあの頃へと優しく誘(いざな)う。
それは何物にも代え難い、大切な時間旅行への秘密の入口だ。
そんなことをつらつらと思いつつ、
「もう1回くらい来てみようか」と話しながら、
彼女の思い出が詰まった街を後にした。
来た道を延々と戻って18:00にいつもの店に腰を落ち着ける。

ここは「居酒屋くろ」ではないよ、クロ。
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