庶民にとって秋の味覚といえばやはりサンマ。
とはいえ肉食盛んなりしガキの頃はご他聞にもれず大の魚嫌い。
秋になると毎晩のように食卓に上るサンマにうんざりしつつ、
いやいやながら白飯と一緒に搔きこんだのを思い出す。
やがて時は(哀しいほど早く)過ぎて気がつけば50代、
量を飲めなくなったことでかえって酒の旨さを知るにつけ、
酒肴としてのサンマ塩焼きの素晴しさを再認識させられている今日この頃。
とはいえ、生のサンマ塩焼きを食べられるのは1年のうち2ヶ月ほど。
この季節は毎日でも食いたい。
ところが、そう思っているのは人間だけではなさそうだ。

じぃっとサンマを見つめるクロの目は、むしろ
ケーキのときより爛々と光っている。
…そらそうだ、ぬいぐるみとはいえ、一応は「ネコ」という設定だから。
せっかくだからずっと近くで見せてあげたいのは山々だけれど、
それではおじちゃんもおねえちゃんもいつまで経っても食べられないし、
それ以上にサンマ塩焼き独特の臭いがクロにこびりついても困る。
というわけで、人間様がホンモノのサンマ塩焼きでゆるりと一杯飲っている間、

七輪焼のサンマが焦げないように、クロには見張り番をお願いしよう。
しっかり頼むよ、クロ。
コメント