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第6回 【クロと一緒に盛岡へ/前編】

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去る10月7日(土)から9日(月)までの3日間、盛岡を旅した。

妻の両親の墓参が主な目的だが、生まれも育ちも東京で、
いわゆる故郷を持たない私にとって、ほぼ毎年秋の盛岡行きは
旅行というよりむしろ里帰りに近い感覚で、心休まるひとときだ。

出発の数日前、妻がポツリと漏らした。

「クロ、3日間もひとりぼっちで寂しくないかな・・・」

何を隠そう、実は私も同じことを考えていた。

「かわいそうだから連れて行こうか」

「そうしよう、よかったねクロ」

・・・読者諸兄、まあそう呆れずにお付き合い下さいな。

旅行するとき、私たちは着替えなどをそれぞれのキャリーバッグに詰め、
前もって宅配便で宿泊するホテルに送ることにしている。
特にこの10月をもって宅配便料金が一気に値上がりしたこともあって、
確かに懐には痛いが、移動時の快適さを思うとやめられない。

しかし、クロはもちろんキャリーバッグに詰めたりしない。
往き帰りの移動中は、少し狭いが私のリュックに隠れてもらう。

当日9時過ぎに東京駅を発車する新幹線に無事座席を得て、
クロを取り出そうとするも車内は満席、他人様の視線がなんとなく気になる。
(だったら連れて来るな)

しかし狭いリュックの中ではさぞ息苦しいだろう。
(だから息してないって)

幸い仙台駅でかなりの乗客が降り、近くに人がいなくなったので、
リュックをそっと開けると、恐る恐る顔を出したクロは、

あれ、ここはどこ!?

とばかりに驚いた表情を浮かべ、いつも以上に大きく目を見開いている。
上の写真がその一瞬を捉えたもの、確かにそう見えるでしょ?

妻は小声で「狭くてごめんねクロ」と彼の耳元で囁く。
この光景を他の乗客に・・・ええい、この際見られてもいいや。
二度と会うこともないだろうし。

新幹線は11時半前、無事に盛岡駅に到着。

駅ビルの地下で昼食を済ませたものの、この日はあいにくの雨。
書店を巡ったり盛岡市内唯一のデパートをぶらついたりして時間を潰し、
15:00に宿泊するホテルチェックインした。

先着していたキャリーバックを開けるより先にクロをリュックから取り出すと、
窓の外に広がる、いつもとはまるで異なる景色に戸惑いながらも、
彼は興味深げにいつまでもじっと眺めていた。

夕食は盛岡に来るたび必ず立ち寄る、なじみの居酒屋へ。
いつも観光客らしき姿はなく、客のすべてが地元の方とお見受けする。

さすがにクロを連れてくる勇気(てゆーか常識)もなく、
ホテルの部屋でおとなしく留守番させて、
私たちは盛岡最初の夜を、地酒とともにゆるりと堪能した。
 

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おじちゃん

現在59歳の自営業男性
妻とクロとの3人暮らし。